Q20 養育費や婚姻費用の審判

養育費や婚姻費用の審判ができるようになったと聞きましたが、従来とどうちがうのですか。また、メリットはあるのですか。

A20 メリットは、早く判断が下されるという点です。

平成25年改正前までは、審判ができるのは、現在の別表1事件(改正前は甲類事件と呼びました。)の失踪宣告や氏名変更許可や後見人選任事件や養子縁組許可や取消事件など公益に関する事件にのみ審判ができるとされていて、養育費支払いや婚姻費用分担など、主として私益に関わる現在の別表2事件(改正前の乙類事件)については、審判ができませんでした。したがって、調停によって相手方の合意を取り付けなければならなかったところ、悪意をもって、不合理な理由で相手が養育費や婚姻費用の支払を拒否した場合は、裁判に依るほかはなく、そのような兵糧攻めが一番応えるので、泣く泣く不合理な条件で妥協せざるとえないという事態がよく発生しました。

そこで、平成25年改正法で、養育費や婚姻費用などの別表2事件について、審判ができるように改正されて、相手方が拒否していても迅速に養育費や婚姻費用分担などの決定ができるようになりました。そこが大きなメリットです。

では、いきなり養育費や婚姻費用分担の審判を申し出た方が良いのでしょうか。

これは時と場合によります。

まず、審判申立の場合は、提出書類だけで、原則審判可能な程度に資料が調っていることが必要です。ところが、自分の所得を証明する書類(源泉徴収票や所得証明書)は簡単に手に入りますが、相手の所得を証明する書類は、なかなか手に入れることは困難です。だからまず調停を申し立て、相手から必要書類を出させて、その上で相手が応じなければ審判を申し立てるという方が結果的には早い場合も多いのです。

また、調停は、相当簡単な内容で申立をすることができますが、審判申立は相当かっちりした内容で申し立てる必要性があり、準備に相当時間をとられる点がデメリットです。とくに養育費や婚姻費用の支払は、申立の日に遡って支払をするように決定されるので、1日でも早く申立をする必要があります。すなわち、前月31日に申立をするか翌月1日に申立をするかたった1日遅れるだけで、1ヶ月分の養育費や婚姻費用の支払分の違いが生じるのです。

かように、養育費や婚姻費用分担について、調停を申し立てるか、審判を申し立てるかは、時と場合によりますので、これらに習熟した弁護士に任せるのが適切です。

当事務所では、婚姻費用の分担の調停や養育費分担の調停については習熟しており、かつ、費用面においても、離婚請求と同時に受任するときは、着手金はなしでまず第1に優先的に申立をして、兵糧攻めを防ぎますので、費用面で苦労する心配は無用です。もっとも、獲得できた婚姻費用はまず離婚の弁護士費用に充当させていたくので、その点はご了承ください。

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