Q24 経営者の妻の離婚に伴う年金分割

私は、夫が経営している会社で週3回くらい会計として働いてきましたが、離婚後の年金はどうなりますか。一応会社の取締役です。

A24 老齢基礎年金(国民年金)部分に変化は生じませんが、厚生年金部分は、離婚に伴う年金分割によって貴方(妻)側の将来の受取額が増える可能性があります。

(年金分割に関する概要は、「Q22 離婚に伴う年金分割とその手続き」で説明していますので、ぜひそちらをご参照ください。)

夫が社長で妻が役員であるような場合に限らず、夫婦ともに被用者年金に加入している場合、双方ともに保険料の納付実績があるため、将来的に双方ともに被用者年金が支給されることになります。ただし、被用者年金の基本的な支給額は、

  • 標準報酬額×給付乗率×加入月数

で決定されます。標準報酬額は当然月収の額が影響してきますので、会社員としての月収が多ければ多いほど、、将来的に支給される厚生年金の額は大きくなります(その分、毎月その報酬額に応じた被用者年金保険料を納めています)。

仮に、経営者の夫の報酬額の累計(婚姻期間中)が1億2000万円、週3回くらい会計として働いてきた妻の報酬額の累計(同じく婚姻期間中)が6000万円であった場合、年金分割によって按分割合を0.5とすることができれば、夫婦それぞれの婚姻期間中の標準報酬額の累計は、

  • (1億2000万円+6000万円)×0.5=9000万円

となり、妻からしてみれば、婚姻期間中の標準報酬額の累計を夫から3000万円分もらえることになります。この分だけ厚生年金の算定元が増えることになるので、将来的な支給額の増加につながります。

※なお、ざっくりとした計算の結果としては、年金分割によって3000万円分の標準報酬額の累計がもらえた場合の将来の厚生年金受給額の上昇期待値としては、おおよそ16万円程度(1ヶ月辺りおおよそ1万3000円)となります。

特に、経営者の夫と役員の妻という関係性がある場合には、離婚に伴って会社との関係も清算するというケースも有り得るかと思います。そうなると、妻からすれば、会社における地位を失うことでそれまで得ていた収入が完全に断たれる場合もあります

離婚後及びその後の年金収入をより安定させるために、離婚をする際には、年金分割も必ず行うことをお勧めいたします。

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