Q25 内縁関係の解消に伴う年金分割

私は、婚姻届は出していませんが、長年内縁関係にあります。その場合でも年金分割できますか?夫は会社員で、私は専業主婦です。

A22 内縁関係でも年金分割は可能ですが、婚姻の場合の婚姻期間のように、対象とする期間が明確という訳ではありませんので、内縁関係にあった者の一方が被用者年金に加入し、他方がその被扶養者として第3号被保険者と認定された期間において、3号分割のみにより年金分割が可能です。

(年金分割に関する概要は、「Q22 離婚に伴う年金分割とその手続き」で説明していますので、ぜひそちらをご参照ください。)

1.「内縁関係」とは

内縁関係とは、「婚姻の意思を双方が持ちながら、婚姻の届出はせずに夫婦の実態を有する共同生活を送る男女の関係」を指します。本来、男女が結びついて家族となるにあたっては、いくつかの法律的な手続きが要求され、それらを踏むことで法律上の夫婦と見なされます。このように、法律上の夫婦の関係となるものを法律婚、対して、内縁関係のように事実上は夫婦の関係の体を持つものの、法律的には認められていないものを事実婚ともいいます。

2.内縁関係の解消に伴う年金分割はかなり限定的

結論から言いますと、内縁関係にある場合でも年金分割は可能です。ただし、法律婚の場合と同様ではなく、かなり限られた期間及び条件となっています

(1)期間の問題

まず問題となるのは、内縁関係の始期と終期です。法律婚の場合には、婚姻届の受理日と離婚届の受理日によって婚姻期間が公的に証明されますが、内縁関係の場合は、その始期と終期を公的に証明するものがありません。このことから、内縁関係の場合には、一方が他方の被扶養者として国民年金における第3号被保険者であった期間についてのみ、年金分割を認めています質問者の方の場合は専業主婦であることから、旦那さんの被扶養者であった期間があれば、その期間分について年金分割が認められます。

(2)利用できる制度の問題

もうひとつ法律婚の場合と違うのは、利用できる制度です。内縁関係の場合には、上記の条件上の期間を元にした3号分割しか認められていません。裏を返せば、合意分割は利用できないことになります。

ここでさらに問題となるのが、3号分割制度そのものの運用内容です。3号分割制度の運用開始日は平成20年4月1日からであり、その日以降の第3号被保険者であった期間について利用が可能となっています。仮に平成20年4月1日より前から第3号被保険者であった期間があったとしても、その部分については3号分割が利用できず、合意分割をしなければ年金分割ができません。
したがって、内縁関係にある場合の年金分割は、合意分割が利用できない以上は、どれだけ長期であったとしても、平成20年4月1日以降の第3号被保険者であった期間についてしか年金分割が認められていません

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