Q21 有責配偶者と財産分与

妻が不倫して離婚することになりました。妻とは20年前に結婚して,その間ずっと専業主婦でした。結婚してから築いた財産は,全部私が稼いだもので,家の名義も預金も全部私名義のものですが,離婚にあたり,妻から財産分与を求められています。妻が不倫して離婚に至ったのだから,財産分与はする必要がないですよね。

A21  残念ながら,財産分与は原則2分の1支払う必要があります。この点,慰藉料の問題と財産分与の問題をごちゃごちゃにして感情に引きづられると,ご質問のような結論がでてきますが,法律の世界はもう少し冷静に慰藉料の問題と財産分与の問題にわけて問題を解決するようにしています。

まず,「慰藉料」の世界では,婚姻生活を破綻させたことについて原因があって,その原因が不法行為にあたる場合は,慰藉料が請求出来ます。不法行為とは,婚姻生活という平穏な夫婦間の生活環境を,不倫や暴力や暴言などの故意又は過失行為によって,侵害した場合に精神的な損害が発生しているとして,慰藉料請求できるものです。

他方,「財産分与」の世界では,妻が不倫によって円満な夫婦間の生活環境を破壊したしても,それまでに築いてきた内助の功的な妻の貢献を全部無にするとは,考えないのです。

すなわち,基本的に別居ではなく夫と同居してきた妻は,専業主婦として夫の仕事を家庭で支えてきたことを評価し,また,夫婦は対等なパートナーという法律上の原則から,結婚後に形成された夫名義の財産は実質的には夫婦の共有財産であるとして(最高裁昭和52年7月23日判決),基本的には50対50で財産を分けるというのが実務になっています。

従って,別居などしていなければ,その間内助の功もあったとして,妻が不倫をして有責配偶者として自分の方から離婚請求できない立場にいたとしても,財産分与の世界では,婚姻中に形成された財産の2分の1を分け与えなければなりません。

しかし,それではあんまりだと感じる方も大勢いらっしゃいます。  

当事務所では,そのような意見をくみ取り,実質的に家庭内別居であったとか,内助の功がほとんどないということを具体的に指摘し立証することによって,多少相手に渡す財産分与の額を減らしたり,不倫慰藉料の額を多めに認定させることなどによって,相手に渡す財産の額を減らす努力をしております。また,最終的に財産分与の額や慰藉料を決定するのは裁判官ですので,裁判官がこちらの主張に耳を傾けていただける状況を作り出す環境を整えるなど,過去の経験に基づいて具体的なアドバイスすることができます。

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